監修三宅整形外科 院長 三宅 信昌 先生
関節リウマチの医療費の負担を減らすためにいくつかの公的制度が利用できます。ひと月に支払った自己負担額が特定の上限を超えた場合には、「高額療養費制度」が利用でき、18歳未満で小児慢性特定疾病に該当すれば、「高額療養費制度」に加えて「小児慢性特定疾病の医療費助成制度」が利用できる可能性があります。
ひと月の医療費の自己負担額が限度額を超えた場合に、その超えた金額の支給が受けられます。
適用区分 | ひと月の上限額 (世帯ごと) | 多数回該当(※1) |
---|---|---|
年収約1,160万円〜 健保:標準報酬月額83万円以上 国保:年間所得(※2)901万円超 |
252,600円+(医療費−842,000)×1% | 140,100円 |
年収約770万〜約1,160万円 健保:標準報酬月額53万〜79万円 国保:年間所得(※2)600万〜901万円 |
167,400円+(医療費−558,000)×1% | 93,000円 |
年収約370万〜約770万円 健保:標準報酬月額28万〜50万円 国保:年間所得(※2)210万〜600万円 |
80,100円+(医療費−267,000)×1% | 44,400円 |
〜年収約370万円 健保:標準報酬月額26万円以下 国保:年間所得(※2)210万円以下 |
57,600円 | 44,400円 |
住民税非課税の方 | 35,400円 | 24,600円 |
厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)より作成
適用区分 | 外来及び入院を合わせた月単位の上限額(世帯ごと) | 多数回該当(※1) | ||
---|---|---|---|---|
外来(個人ごと)(※3) | ||||
現役並み | 年収約1,160万円〜 標準報酬月額83万円以上 課税所得690万円以上 |
252,600円+(医療費−842,000円)×1% | 140,100円 | |
年収約770万〜約1,160万円 標準報酬月額53万円以上 課税所得380万円以上 |
167,400円+(医療費−558,000円)×1% | 93,000円 | ||
年収約370万〜約770万円 標準報酬月額28万円以上 課税所得145万円以上 |
80,100円+(医療費−267,000円)×1% | 44,400円 | ||
一般 | 年収156万〜約370万円 標準報酬月額26万円以下 課税所得145万円未満等 |
18,000円 (年間144,000円(※2)) |
57,600円 | 44,400円 |
住民税非課税 | II 住民税非課税世帯 | 8,000円 | 24,600円 | 適応なし |
I 住民税非課税世帯 (年金収入80万円以下等) |
15,000円 |
厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)より作成
おひとり1回分の負担では上限額(自己負担限度額)を超えない場合でも、複数の受診や、同じ世帯の方(同じ医療保険に加入している方)の自己負担額を合算できる制度があります。
所得区分に関わらず、同一月・同一医療機関で1件21,000円以上の負担が合算可能です。
※70歳以上はすべての負担を合算(75歳以上の方は後期高齢者医療制度の対象となり、世帯内の若年者とは制度体系が異なるため合算できません)医療保険の高齢受給者と後期高齢者医療の世帯については、同一月のすべての負担が世帯合算の対象です。外来分は外来の自己負担限度額を適用した後に残る窓口負担額が合算可能です。
*75歳以上の方は後期高齢者医療制度の対象となり、世帯内の若年者とは制度体系が異なるため合算できません。
70歳以上の方は、同一月のすべての外来と入院の負担が世帯合算の対象です。外来分は外来の自己負担限度額を適用した後に残る窓口負担額が合算可能です。
*75歳以上の方は後期高齢者医療制度の対象となり、世帯内の若年者とは制度体系が異なるため合算できません。
高額療養費を申請される月以前の直近12ヵ月の間に、同一世帯で既に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、「多数回該当」という扱いになり、その月の自己負担限度額がさらに軽減されます。
厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)より作成
医療機関で支払ったひと月の医療費の自己負担額が上限額(自己負担限度額)を超えた場合、申請によって払い戻しを受けることが可能です(保険適用外の診療や、入院中の食事代・差額ベッド代などは範囲外)。
厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)より作成
医療費が高額になることが予想される場合には認定証の手続きを行うことで、ひと月の窓口での支払いが自己負担限度額までになります(保険適用外の診療や、入院中の食事代・差額ベッド代などは範囲外)。
厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)より作成
「若年性特発性関節炎」は、国が定める小児慢性特定疾病に指定されています。18歳未満の小児慢性特定疾病の患者さん※1は、「高額療養費制度」と「小児慢性特定疾病の医療費助成制度」を利用することで、治療にかかる経済的な負担を軽減できる可能性があります。
概要 | 助成の範囲 | 申請先 | |
---|---|---|---|
高額療養費制度 | 医療機関へ支払った医療費の自己負担額が限度額を超えた場合に、その超えた金額の支給が受けられます。 | 小児慢性特定疾病以外の医療費を含む、すべての医療費に利用可能です(保険適用外の診療や、入院中の食事代・差額ベッド代などは範囲外)。 | 加入中の公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽの都道府県支部など) |
小児慢性特定疾病の医療費助成制度 | 国が定める「小児慢性特定疾病」の18歳未満の患者さん※1に医療費の自己負担分の一部が助成されます。 | 指定小児慢性特定疾病医療機関※2において行われた保険診療に関してのみ医療費助成の対象となります(薬局・訪問看護を含む。指定医療機関以外の医療費や入院中の差額ベッド代及び差額食事代などは範囲外)。 | 居住している都道府県・指定都市(保健所、役所・役場など) |
厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)、
小児慢性特定疾病情報センターhttps://www.shouman.jp(2020年10月現在)より作成
小児慢性特定疾病の医療費助成制度は保険優先の公費制度であるため、まずは高額療養費制度 による給付が行われます。次にその残額に対して小児慢性特定疾病の医療費助成制度による給付が適用されます。
階層区分 | 年収の目安 (夫婦2人子1人世帯) |
自己負担上限額 (患者負担割合:2割、外来+入院) |
|||
---|---|---|---|---|---|
一般 | 重症(※) | 人工呼吸器など装着者 | |||
I | 生活保護等 | 0円 | |||
II | 市町村民税
非課税 |
低所得I(〜約80万円) | 1,250円 | 500円 | |
III | 低所得II(〜約200万円) | 2,500円 | |||
IV | 一般所得I (〜市区町村民税7.1万円未満、〜約430万円) |
5,000円 | 2,500円 | ||
V | 一般所得II (〜市区町村民税25.1万円未満、〜約850万円) |
10,000円 | 5,000円 | ||
VI | 上位所得 (市区町村民税25.1万円〜、約850万円〜) |
15,000円 | 10,000円 | ||
入院時の食費 | 1/2自己負担 |
小児慢性特定疾病情報センター https://www.shouman.jp (2020年10月現在)より作成
小児慢性特定疾病情報センター https://www.shouman.jp (2020年10月現在)より作成
制度利用のためにはお住まいの都道府県・指定都市の役所や保健所などに申請し、医療受給者証を交付してもらう必要があります。申請に必要な書類は自治体によって異なります。
書類 | 入手方法 |
---|---|
小児慢性特定疾病医療費支給認定申請書 | 各自治体ホームページからダウンロード、または窓口で入手 |
小児慢性特定疾病医療意見書
(指定医が記入) |
小児慢性特定疾病情報センターホームページからダウンロード、または各自治体窓口で入手 |
受診医療機関申請書 | 各自治体ホームページからダウンロード、または窓口で入手 |
世帯調書 | 各自治体ホームページからダウンロード、または窓口で入手 |
世帯の所得を確認するための書類
(市区町村民税(非)課税証明書など) |
各自で用意 |
健康保険証の写し | 各自で用意 |
住民票 | 各自治体窓口で入手 |