医療費制度について

監修三宅整形外科 院長 三宅 信昌 先生

関節リウマチの医療費の負担を減らすためにいくつかの公的制度が利用できます。ひと月に支払った自己負担額が特定の上限を超えた場合には、「高額療養費制度」が利用でき、18歳未満で小児慢性特定疾病に該当すれば、「高額療養費制度」に加えて「小児慢性特定疾病の医療費助成制度」が利用できる可能性があります。

高額療養費制度

ひと月の医療費の自己負担額が限度額を超えた場合に、その超えた金額の支給が受けられます。

◆69歳以下の方の自己負担限度額◆
適用区分 ひと月の上限額 (世帯ごと) 多数回該当(※1)
年収約1,160万円〜
 健保:標準報酬月額83万円以上
 国保:年間所得(※2)901万円超
252,600円+(医療費−842,000)×1% 140,100円
年収約770万〜約1,160万円
 健保:標準報酬月額53万〜79万円
 国保:年間所得(※2)600万〜901万円
167,400円+(医療費−558,000)×1% 93,000円
年収約370万〜約770万円
 健保:標準報酬月額28万〜50万円
 国保:年間所得(※2)210万〜600万円
80,100円+(医療費−267,000)×1% 44,400円
〜年収約370万円
 健保:標準報酬月額26万円以下
 国保:年間所得(※2)210万円以下
57,600円 44,400円
住民税非課税の方 35,400円 24,600円

厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)より作成

  • 注 1つの医療機関等での自己負担(院外処方代を含む)では限度額を超えないときでも、同じ月の別の医療機関等での自己負担(69歳以下の場合は21,000円以上であることが必要)を合算することができます。この合算額が限度額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。
  • ※1 高額療養費を申請される月以前の直近12ヵ月の間に、同一世帯で既に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、「多数回該当」という扱いになり、その月の自己負担限度額がさらに軽減されます。
  • ※2 ここでいう「年間所得」とは、前年の総所得金額及び山林所得金額並びに株式・長期(短期)譲渡所得金額等の合計額から基礎控除(33万円)を控除した額(ただし、雑損失の繰越控除額は控除しない)のことを指します。
◆70歳以上の方の自己負担限度額◆
適用区分 外来及び入院を合わせた月単位の上限額(世帯ごと) 多数回該当(※1)
外来(個人ごと)(※3)
現役並み 年収約1,160万円〜
 標準報酬月額83万円以上
 課税所得690万円以上
252,600円+(医療費−842,000円)×1% 140,100円
年収約770万〜約1,160万円
 標準報酬月額53万円以上
 課税所得380万円以上
167,400円+(医療費−558,000円)×1% 93,000円
年収約370万〜約770万円
 標準報酬月額28万円以上
 課税所得145万円以上
80,100円+(医療費−267,000円)×1% 44,400円
一般 年収156万〜約370万円
 標準報酬月額26万円以下
 課税所得145万円未満等
18,000円
(年間144,000円(※2)
57,600円 44,400円
住民税非課税 II 住民税非課税世帯 8,000円 24,600円 適応なし
I 住民税非課税世帯
(年金収入80万円以下等)
15,000円

厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)より作成

  • 注 1つの医療機関等での自己負担(院外処方代を含む)では限度額を超えないときでも、同じ月の別の医療機関等での自己負担を合算することができます。この合算額が限度額を超えれば、高額療養費の支給対象となります。
  • ※1 高額療養費を申請される月以前の直近12ヵ月の間に、同一世帯で既に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、「多数回該当」という扱いになり、その月の自己負担限度額がさらに軽減されます。
  • ※2 基準日(7月31日)時点の所得区分が、一般区分または住民税非課税区分に該当する場合は、計算期間(前年8月1日〜7月31日までの期間)のうち、一般区分または住民税非課税区分であった月の1年間の外来療養の自己負担限度額の合計について、144,000円の上限が設けられています(下記)。
  • ※3 70歳以上の方には、外来だけの上限額も設けられています。
◆世帯合算◆

おひとり1回分の負担では上限額(自己負担限度額)を超えない場合でも、複数の受診や、同じ世帯の方(同じ医療保険に加入している方)の自己負担額を合算できる制度があります。

例1 69歳以下は21,000円以上の負担を合算

所得区分に関わらず、同一月・同一医療機関で1件21,000円以上の負担が合算可能です。

※70歳以上はすべての負担を合算(75歳以上の方は後期高齢者医療制度の対象となり、世帯内の若年者とは制度体系が異なるため合算できません)医療保険の高齢受給者と後期高齢者医療の世帯については、同一月のすべての負担が世帯合算の対象です。外来分は外来の自己負担限度額を適用した後に残る窓口負担額が合算可能です。

例2 69歳以下と70~74歳*の方がいる世帯の合算

  • ❶ 70〜74歳の方の1ヵ月にかかった外来と入院すべての自己負担額を確認し、自己負担限度額との差額を支給
  • ❷ 69歳以下の方の21,000円以上の自己負担額を❶によってもなお残る自己負担額と合算
  • ❸ ❷の合計額に対して、69歳以下の世帯の自己負担限度額が適用

*75歳以上の方は後期高齢者医療制度の対象となり、世帯内の若年者とは制度体系が異なるため合算できません。

例3 70歳以上はすべての負担を合算*

70歳以上の方は、同一月のすべての外来と入院の負担が世帯合算の対象です。外来分は外来の自己負担限度額を適用した後に残る窓口負担額が合算可能です。

*75歳以上の方は後期高齢者医療制度の対象となり、世帯内の若年者とは制度体系が異なるため合算できません。

◆多数回該当◆

高額療養費を申請される月以前の直近12ヵ月の間に、同一世帯で既に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、「多数回該当」という扱いになり、その月の自己負担限度額がさらに軽減されます。

例 年収約370万〜約770万円の場合

年収約370万〜約770万円の方が「多数回該当」の扱いになる場合、その月の自己負担限度額は44,400円になります。

厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)より作成

◆高額療養費制度の申請手続き◆

❶払い戻しを受ける場合(事後の手続き)

医療機関で支払ったひと月の医療費の自己負担額が上限額(自己負担限度額)を超えた場合、申請によって払い戻しを受けることが可能です(保険適用外の診療や、入院中の食事代・差額ベッド代などは範囲外)。

払い戻しを受ける場合(事後の手続き)の説明補足画像

厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)より作成

  • ※1 申請手続きは加入している公的医療保険によって異なります。
  • ※2 払い戻しは、医療機関等から提出される診療報酬明細書(レセプト)に基づいて審査が行われ、診療を受けた月から少なくとも3ヵ月後になります。また、診療を受けた月の翌月の初日から過去2年まで申請が可能ですが、それ以降は無効となります。

❷支払額を自己負担限度額までに済ませる場合(事前の手続き)

医療費が高額になることが予想される場合には認定証の手続きを行うことで、ひと月の窓口での支払いが自己負担限度額までになります(保険適用外の診療や、入院中の食事代・差額ベッド代などは範囲外)。

支払額を自己負担限度額までに済ませる場合(事前の手続き)の説明補足画像

厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)より作成

  • ※1 70歳以上で、年収が156万〜約370万円および約1,160万円以上の方は限度額適用認定証は発行されず、窓口での負担は自動的に自己負担限度額までとなります。また、住民税非課税世帯の方は年齢にかかわらず「限度額適用・標準負担額減額認定証」の適用となります。詳しくは、加入されている医療保険の窓口にお問い合わせください。
  • ※2 限度額適用認定証の他に70歳以上75歳未満の方は「高齢受給者証」、75歳以上の方は「後期高齢者医療被保険者証」が必要になります。

小児慢性特定疾病の医療費助成制度

「若年性特発性関節炎」は、国が定める小児慢性特定疾病に指定されています。18歳未満の小児慢性特定疾病の患者さん※1は、「高額療養費制度」と「小児慢性特定疾病の医療費助成制度」を利用することで、治療にかかる経済的な負担を軽減できる可能性があります。

概要 助成の範囲 申請先
高額療養費制度 医療機関へ支払った医療費の自己負担額が限度額を超えた場合に、その超えた金額の支給が受けられます。 小児慢性特定疾病以外の医療費を含む、すべての医療費に利用可能です(保険適用外の診療や、入院中の食事代・差額ベッド代などは範囲外)。 加入中の公的医療保険(健康保険組合、協会けんぽの都道府県支部など)
小児慢性特定疾病の医療費助成制度 国が定める「小児慢性特定疾病」の18歳未満の患者さん※1に医療費の自己負担分の一部が助成されます。 指定小児慢性特定疾病医療機関※2において行われた保険診療に関してのみ医療費助成の対象となります(薬局・訪問看護を含む。指定医療機関以外の医療費や入院中の差額ベッド代及び差額食事代などは範囲外)。 居住している都道府県・指定都市(保健所、役所・役場など) 

厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ(平成30年8月診療分から)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf(2020年10月現在)、
小児慢性特定疾病情報センターhttps://www.shouman.jp(2020年10月現在)より作成

  • ※1 18歳到達後も引き続き治療が必要と認められる場合には、20歳未満まで対象となります。20歳以降も引き続き治療が必要な患者さんは難病医療費助成制度を申請することで助成を受けられます。
  • ※2 各自治体から指定小児慢性特定疾病医療機関が公表されています。

◆助成のイメージ◆

小児慢性特定疾病の医療費助成制度は保険優先の公費制度であるため、まずは高額療養費制度 による給付が行われます。次にその残額に対して小児慢性特定疾病の医療費助成制度による給付が適用されます。

助成のイメージの説明の補足画像
◆小児慢性特定疾病の医療費助成制度の自己負担上限額(月額)◆
階層区分 年収の目安
(夫婦2人子1人世帯)
自己負担上限額
(患者負担割合:2割、外来+入院)
一般 重症(※) 人工呼吸器など装着者
I 生活保護等 0円
II 市町村民税
非課税
低所得I(〜約80万円) 1,250円 500円
III 低所得II(〜約200万円) 2,500円
IV 一般所得I
(〜市区町村民税7.1万円未満、〜約430万円)
5,000円 2,500円
V 一般所得II
(〜市区町村民税25.1万円未満、〜約850万円)
10,000円 5,000円
VI 上位所得
(市区町村民税25.1万円〜、約850万円〜)
15,000円 10,000円
入院時の食費 1/2自己負担

小児慢性特定疾病情報センター https://www.shouman.jp (2020年10月現在)より作成

  • ※重症: ①高額な医療費が長期的に継続する者(医療費総額が50,000円/月(例えば医療保険の2割負担の場合、
           医療費の自己負担が10,000円/月)を超える月が年間6回以上ある場合)
  •        ②現行の重症患者基準に適合する者のいずれかに該当。

◆小児慢性特定疾病の医療費助成の申請手続き◆

小児慢性特定疾病の医療費助成の申請手続きの過程

小児慢性特定疾病情報センター  https://www.shouman.jp (2020年10月現在)より作成

  • ※1 指定小児慢性特定疾病医療機関において行われた保険診療に関してのみ医療費助成の対象となります。
  • ※2 医療意見書の記載は小児慢性特定疾病指定医のみが行えます。
  • ※3 医療意見書の発行に時間を要する場合は、他の必要書類を準備の上、先に自治体窓口へ申請の相談を行ってください。必要書類は自治体ごとに異なります。
  • ※4 小児慢性特定疾病対策は、お住まいの地域によって担当となる自治体が異なります。指定市、中核市、児童相談所設置市にお住まいの場合には各市の担当窓口へ、その他の地域の場合には、都道府県の担当窓口へご相談下さい。各自治体担当窓口はこちら  (https://www.shouman.jp/support/prefecture/)で確認できます。
◆小児慢性特定疾病の医療費助成の申請に必要な書類(例)◆

制度利用のためにはお住まいの都道府県・指定都市の役所や保健所などに申請し、医療受給者証を交付してもらう必要があります。申請に必要な書類は自治体によって異なります。

書類 入手方法
小児慢性特定疾病医療費支給認定申請書 各自治体ホームページからダウンロード、または窓口で入手
小児慢性特定疾病医療意見書
(指定医が記入)
小児慢性特定疾病情報センターホームページからダウンロード、または各自治体窓口で入手
受診医療機関申請書 各自治体ホームページからダウンロード、または窓口で入手
世帯調書 各自治体ホームページからダウンロード、または窓口で入手
世帯の所得を確認するための書類
(市区町村民税(非)課税証明書など)
各自で用意
健康保険証の写し 各自で用意
住民票 各自治体窓口で入手