監修東京医科歯科大学 膠原病・リウマチ内科学 教授 保田 晋助 先生
関節リウマチは発症の早期から関節がこわれていくことが多いのですが、この時期に治療を始めるほど十分な治療効果が期待できることが知られています1)。この病気に対する治療の効果が最も期待できる時期のことを“window of opportunity(治療の機会の窓)”とよび、早期治療の重要性をあらわしています1,2)。
最近では関節リウマチの治療薬も増え、早期治療により関節がこわれるのを食い止め、「寛解」もしくは「低疾患活動性」を目指すようになりました。寛解とは症状がおさえられた状態のことをいい、痛みや腫れなどの炎症をおさえた状態の「臨床的寛解」、関節がこわれていかない状態の「構造的寛解」、からだの機能の低下がない状態の「機能的寛解」などがあります。関節の状態等により、寛解の導入が難しい場合には、できる限り症状が軽く落ち着いた状態である低疾患活動性を目指します1)。
患者さんと医師で寛解などの治療目標を決め、達成できているかを定期的(1~3ヵ月ごと)に評価し、達成していなければ治療内容を見直すという考え方を、T2T(Treat to Target ; 目標達成にむけた治療)といいます。T2Tは関節リウマチの治療管理の概念として国際的に提案されました3)。
T2Tでは、寛解もしくは低疾患活動性を目指すことにより、長期的な生活の質(QOL)の改善を治療ゴールとしています。患者さんと医師が治療目標を共有し、治療を進めていくことが重要です3)。
関節リウマチの治療法には、薬物療法、手術療法、リハビリテーションなどがあります。主治医とよく相談のうえ、できるだけ健康な方に近い日常生活をおくれるように治療目標を設定し、これらの治療法を組み合わせていくことが勧められます4)。
参考文献