関節リウマチの病態メカニズムについては十分に解明されていないところがありますが、現在では次のように考えられています。
(1) 関節リウマチ患者さんでみられる関節の炎症は、抗原提示細胞がT細胞に誤った情報を伝えることから始まります。
(2) 誤った情報を受け取ったT細胞は、B細胞やマクロファージなどに、自分自身(関節など)を攻撃するように指令をだします。
(3) 指令を受けたB細胞やマクロファージは、サイトカインなどをつくりだして、関節の炎症(痛みや腫れ)や関節の破壊を引き起こします。
抗原提示細胞
病原体が身体に侵入した際、その情報をT細胞に伝える細胞。 関節リウマチではT細胞に誤った情報(自分自身の身体を攻撃するような命令)をT細胞に伝えていると考えられています。
T細胞(てぃーさいぼう)
免疫(病原体が身体に侵入した際、これらを攻撃するはたらき)を担う細胞の一種で、B細胞やマクロファージなどに病原体を攻撃するよう指令をだすはたらきをもっています。
B細胞(びーさいぼう)
免疫を担う細胞の一種で、サイトカインをつくりだしたり、抗体をつくる細胞に変化して抗体をだすことで病原体を攻撃するはたらきをもっています。
マクロファージ
身体に入ってきた病原体を食べたり、サイトカインをつくりだして攻撃する細胞。
サイトカイン
さまざまな細胞がつくりだすタンパク質。関節リウマチでは、炎症を引き起こしたり、関節を破壊したりする作用をもつサイトカインが過剰につくりだされています。
(4) オレンシアは、T細胞が誤った情報をださないよう、T細胞のはたらきを抑えます。
(5) T細胞のはたらきが抑えられると、サイトカインが過剰につくられなくなり、関節の痛みや腫れが和らげられ、関節の破壊を防止します。
オレンシア点滴静注用250mg 添付文書2021年7月改訂(第1版)
Choy EH, Panayi GS. : N Engl J Med. 344(12): 907-916, 2001
Choy E. Rheumatology (Oxford). 51(Suppl 5): v3-11, 2012