若年性特発性関節炎ってどんな病気？
若年性特発性関節炎は、16歳未満の子どもが発症する、
原因のわからない関節の痛みや腫れがつづく病気です。
若年性特発性関節炎とは
若年性特発性関節炎は、16歳未満の子どもが発症する関節炎※1のうち、
原因が分からず、症状が6週間以上つづく病気です。
関節炎が長くつづくと、関節の変形や成長障害により、
生活に大きな影響が出る場合があるので、注意が必要です。
若年性特発性関節炎の症状には、免疫※2に関わるTリンパ球（T細胞）や
マクロファージという細胞が深く関わっていると考えられています。
※1 関節炎：関節の炎症。関節の痛みや腫れ、熱感がある、赤くなる、動かしにくい、といった症状が認められる。
※2 免疫：体の中に侵入してきたウイルスや微生物などを退治するはたらき。
若年性特発性関節炎のタイプ
若年性特発性関節炎は、7つのタイプに分けられます。
どのタイプでも関節炎がみられますが、
関節炎の数やその他の症状が異なります。
全身型
2週間以上つづく発熱（うち3日間は連続）やサーモンピンク色の発疹
（リウマトイド疹）、関節炎が主な症状となるタイプです。リンパ節・
肝臓・脾臓が腫れたり、心臓や肺を包んでいる膜に炎症がみられること
もあります。注意が必要な合併症として、マクロファージ活性化症候群※3
があげられます。治療で発熱や発疹などの症状が治まっても、関節炎だけ
が残ってしまうことがあります。
※3 マクロファージ活性化症候群：マクロファージやT細胞の異常な活性化が特徴の病気で、
高熱がつづく、肝臓や脾臓が腫れる、といった症状が現れる。
少関節炎
関節炎の数が発症6ヵ月以内で1～4関節のみのタイプです。関節炎は膝や足の関節でよくみられ、ぶどう膜炎と呼ばれる目の合併症も多いのが特徴です。
関節炎の数は、ずっと4関節以下の場合もありますが、5関節以上に増えてしまう場合もあります。
リウマトイド因子陰性多関節炎
リウマトイド因子陽性多関節炎
関節炎の数が発症6ヵ月以内で5関節以上のタイプです。関節炎は左右対称の関節でみられるのが特徴です。血液検査でリウマトイド因子※4が検出されるかどうかでリウマトイド因子陰性多関節炎とリウマトイド因子陽性多関節炎に分けられます。
※4 リウマトイド因子：関節リウマチの患者さんなどでよくみられる抗体。
血液検査でリウマトイド因子が出た場合を「陽性」、出なかった場合を「陰性」と呼ぶ。
乾癬性関節炎
付着部炎関連関節炎
未分類関節炎
若年性特発性関節炎には、上記のタイプの他に乾癬※5や手・足の指の炎症、爪の変形がみられる乾癬性関節炎、腱や靭帯が骨とくっついている部分で炎症がみられる付着部炎関連関節炎、上記のどのタイプにも入らない未分類関節炎があります。
※5 乾癬：慢性の皮膚病の一種。皮膚が赤く盛り上がり、表面が
銀白色りんせつの鱗屑（フケのようなもの）で覆われ、ボロボロと落ちる症状がみられる。
若年性特発性関節炎の人数
日本では、小児10万人あたり10～15人が
若年性特発性関節炎を発症しています。
タイプ別にみると、全身型、少関節炎、多関節炎が多く、
若年性特発性関節炎全体の90％以上を占めています。
武井修治：小慢データを利用した若年性特発性関節炎 JIA の二次調査. 厚生労働科学研究費補助金（子ども家庭総合研究事業）
法制化後の小児慢性特定疾患治療研究事業の登録・管理・評価・情報提供に関する研究. 平成19年度 総括・分担研究報告書. 102-113, 2008
一般社団法人 日本リウマチ学会 小児リウマチ調査検討小委員会 編集： 若年性特発性関節炎診療ハンドブック2017, p14-38, メディカルレビュー社, 2017
一般社団法人 日本リウマチ学会 小児リウマチ調査検討小委員会 編集： 若年性特発性関節炎初期診療の手引き2015, p26-50, メディカルレビュー社, 2015